新型コロナウイルスの世界的流行が毎日のニュースで取り上げられている昨今。
ついに日本政府より、緊急事態宣言が発出され、いよいよ新型コロナウイルスに対する緊迫感が増してきております。
都市部ではなかなか減少しない、新型コロナウイルスへの感染が問題となっております。
新型コロナウイルスによる世間の自粛ムードも相まって、街の商業施設は休業していたり、企業も在宅ワークや休業になったりと、大きな変化が起きています。
そんな中、その影響による新卒新入社員の内定取り消しや、企業の倒産が増えてきております。
非常事態の中、生活最低限の物やサービス以外の消費というのは落ち込んでしまうので、そこに付随する企業・業界は、縮小をせざるを得ない状況になってきております。
そうした、生活最低限の物やサービスには含まれてこないアパレル業界の現状について、元アパレル業界の私の視点でお話させていただきたいと思います。
アパレル業界の現状 2020!
2019年~2020年のアパレル業界の現状
まずアパレル業界のここ半年ほどの状況についてお話をします。
実は、新型コロナウイルス流行前からアパレル業界は、ひとつの問題に直面しています。
キーワードは「暖冬」と「在庫」です。
今年の冬、皆様は新しいコートを購入されましたか?
おそらくですが、新たにコートを購入された方は少ないのではないでしょうか。
なぜなら、今年の冬は暖冬で、気温の落ち込みがそこまでだったためです。
なので、今年は冬に売上の軸となる、価格の高いコートが売れず、アパレル業界は苦戦をしてしまいました。
実際私が、様々なブランドの店舗の現場を調査してみると、売場には、冬のバーゲンの中盤から終盤にかけてもダウンコートや、ウールコートがまだまだ展開されている状況が続いておりました。
本来であれば、冬のバーゲンの終わり頃にはある程度冬物衣料の在庫は値下げによって売れていき、空いたスペースに徐々に、新作で値下げをしない春の商品が並んでいきます。早いブランドであれば、冬のバーゲンの中盤から春物の新作の提案をはじめていきます。
しかし、今年の冬が暖冬であったことにより、うまくコートなどの冬物衣料品が売り切れなかったことで、新作の春物への切り替えが上手く行かなかったのです。
これにより、アパレル業界としては不利な値下げの施策をだらだらと続けなくてはならなくなってしまったのです。
商品が値下げでたくさん売れてしまうと、企業は非常に儲かりにくくなってしまうので、必然的に増収減益または減収減益と呼ばれる儲からない状況に陥りやすくなります。
儲からないということは、社員の給料・ボーナスのためのお金や、来年の新商品を企業が買い付けるお金などの新事業へのお金が減少することを意味し、企業としては縮小をせざるを得ない状況になるということになります。
縮小に歯止めがかからなければ、最悪の場合倒産ということになってきます。
アパレル求人はコロナウイルス影響で倒産増える?
2020年 新型コロナウイルスの流行
上述させていただいた、冬物衣料の在庫をなくしていくために値引き施策を講じ続けてきたブランドは多くありました。
恐らくお店や企業としては、安くなった冬物衣料品で集客を行い、店舗スタッフの接客や提案によって、値引きのない新作の春物を紹介していくというような戦術だったのではないかと思います。
しかし、値引きによる集客に魔の手となったのがこの新型コロナウイルスの流行です。
緊急事態宣言、感染リスク、自粛などにより、商業施設は軒並みお店を閉めることとなりました。
店舗での販売が実質不可能になってしまったということになります。
こうした、暖冬、新型コロナウイルスの影響により、確実にアパレル業界の儲けは減少しているとみていいのではないかと思います。
万が一、世の中の新型コロナウイルスの流行が長期に渡り続けば続くほど、資金繰りが苦しくなる企業は出てくるのではないかと思います。
そうなれば倒産ということになります。
アパレル業界で働くことは今後不利なのか
ここまで、アパレル業界に対し、かなり不利なお話を述べてきました。
しかしながら、こうした中で煽りを受けにくいアパレルの企業、店舗というのも少なからず存在するのではないかと考えます。
それは、
・顧客型店舗
・ターゲット層を絞った、少数精鋭の品揃えのセレクトショップ
・自社EC(自社の通販サイト)を持っている店舗、企業
という、上記の要素を持っているアパレル企業・店舗であると考えられます。
顧客型店舗であることのメリットは、ある程度売上が安定するという側面があります。
顧客様側も、そのお店で商品を買うこと、そのお店の店員に商品を勧めてもらうことに対し大きな付加価値を感じていることが多いためです。
そういった顧客様は、季節の変わり目や、ブランドのローンチ(立ち上がり)などで定期的に来店をされるのである程度、販売員の実力があれば売上が安定的になりやすくなります。
そこに加え、ターゲットを絞った、少数精鋭の品揃えを行いブランドのキャラクターを確立させている店舗や企業はより強くなります。
根強い顧客様がつきやすくなるという側面と、必要以上に在庫を抱える必要がなく運営上のリスクを少なくすることができるからです。
こうした要素を持った店舗や、企業が自社ECを持ってすれば、現在のような行動が制限された中でもある程度の収益があげられると思われます。
共通して、企業というより、個人の力が求められる部分が大きいです。
アパレル業界を志すのであれば、お客様を虜にするような、立ち居振る舞いや、知識などを事前に学び、働き続ける中でも学び、日々成長していく必要があります。
例外ですが、圧倒的資金力を持った企業(日本でいうとユニクロ要するファーストリテイリンググループのような大型企業が代表)も働く従業員にとっては、賃金などの雇用条件などの面では大きな煽りは受けにくいと思われます。
こうした非常事態の中でも、強い資金力で、従業員は守られやすいからです。
しかしながら、いくら大きな企業でも長い目で見れば、良くない状況が続き、資金繰りが悪化すれば倒産はしてしまいます。
以上から、アパレル業界で働くのであれば、顧客様をたくさん持つことのできる実力と、少数精鋭で品揃えをできる目利きの力、またはそういったブランド、企業を見分けられる力が必要です。
こうした力があれば、アパレル業界で生きていくことも不利なことばかりではありません。
だからこそ、今一度アパレル企業を今後志される方は、いい意味で慎重に挑戦されて下さい。
その時は、事前に志したい企業や店舗に、上記の要素があるのかどうか徹底的に調べてみてほしいと思います。
まとめ
それでは、お話をまとめさせて頂きます。
✅生活必需品でないものを扱う業界なので、世の中の経済の煽りは受けやすい。
✅気温や、新型コロナウイルスのような、外的要因に影響を受けやすい。
✅比較的外的要因を受けにくい、アパレル店舗・企業のあり方もある。
✅顧客様を虜にできるような、付加価値を届けられる人材は強い。
あなたが、アパレル業界人になり、不況・倒産に負けないアパレル業界に変えていくそんな未来を担ってくださることを心より祈らせて頂き、締めくくらせて頂きます。
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